エコハウスの設計作法 健康で快適な建物を経済的に建てるためには

新建ハウジングプラスワンの連載で毎月楽しみにしているのが「エコハウス設計作法」。

パッシブハウスジャパン理事の松尾さんの連載です。

とてもためになるので、全部取ってあります。

 

さて8月号は基本プランのお話し。

今からお家を建てられる方にもとても役立つ内容ですので紹介します。

 

 

私も高松で開催された際に参加したのですが、設計セミナーでの「図面チェック」で見えてきた共通の課題が掲載されていました。

参加者の実際の図面を松尾さんがレビューして、一刀両断にコメントされるのですが、確かにそういうことを言われていました。

 

プロではなく、家を建てる方にも分かることなので、興味のある方は最後まで読んでくださいね。

(読むと結構ショックを受けられるかもしれません・・・・設計中の方もぜひチェックしてみてくださいね)

 

その前に松尾さんからのクイズ。

 

設計セミナーの際にも出題されていましたが、プロでも間違っている方もいました。

答えが気になる方は、問合せくださいね?!

 

それでは自分の備忘録も兼ねて紹介しておきます。

 

設計セミナーでの図面チェックで見えてきた共通の課題

①冬の日射取得、夏の日射遮蔽がきちんとできている工務店は2割もいない。

 特に夏の日射遮蔽に関しては、ほとんど皆無である。

 

②屋根の断熱が弱い工務店が非常に多い(窓が弱いのは当然として)

 

③気密性能に対する意識が低いのは全般的な傾向だが、中でも床面の気密性能に対する意識があるとことは皆無(基礎断熱なら問題ありませんが)。

 

④「構造的に危ないな」と感じる物件が3割くらいある。中でも1割くらいは「震度7クラスが来たら確実に倒壊する」という印象

※松尾設計室では全棟許容応力度計算している

 

⑤現場発泡断熱材の普及率が非常に高い

(防湿シートの併用はほぼ100%なし※)

 

⑥隣家の状況、日陰を気にしている設計者が非常に少ない

(方位に対する意識がほとんど感じられない)

 

⑦南面に庭を取ろうとする意識を持っている人が非常に少ない

 

⑧外観形状がボコボコしすぎている物件が多い

 

⑨南面の日当たりがよい位置に居室を配置できるにもかかわらず、納戸やトイレなどが配置されている例も多い

 

⑩主だった立面においても窓の上下位置、高さ等をそろえてきれいなデザインにしようという意思がない物件が多い

 

⑪冬の熱ロスが多く、夏暑くなってしまう東西北面の窓が異常に大きく、かつ気密性の悪い引き戸が使われていることが多い。

 

※ある製品の場合、防湿シートなしの状態では単純な結露計算だけでは結露が発生することに。大学で実施した6畳大の1年にわたる実験棟による実験では問題なしとのこと。私が全国をまわったりあらゆる断熱関連人脈から聞くところによると、東北、北陸エリアにて内部結露、カビの被害もあるようだが、当然表には出ないため写真等もなく、施工方法については非常に判断が難しいのが現状のようだ(松尾)

 

出典:新建ハウジングプラスワン2016年8月号

 

とても基本的なことですが、あらためて肝に銘じて実務に当たりたいと思います。

基本プランが悪いと、性能もでずコストもかかります。

松尾さんの言われる通り、「効率よく無駄のない設計」を心がけたいです。